製造・技術

ファツィオリ工場職人達の写真

ファツィオリピアノは
35人の熟練した職人により手造りで製作されています。
一台のピアノが完成するまでに約3年の歳月を費やします。
完成したピアノは
パオロ・ファツィオリ自身により一台一台試弾され、
彼の手による最終チェックを経て工場から出荷されます。
以下はこのピアノが造られるまでの簡単な説明です。

より詳細な情報についてはお気軽にお問い合わせ下さい。
また、ファツィオリ見学ビデオもぜひご覧下さい。

リム(ピアノの側板)

ピアノのケースであるリム(側板)は内リムと外リムの2つから構成されます。
リムは高品質な無垢板のメープルやマホガニーを何枚も重ね合わせ、
非常に長い時間をかけて接着・プレスし造られます。
これにより、いつまでも安定した品質を保つことができます。

リムの写真1

内リム

リムの写真2

外リム

木材フレーム

現代の技術では内・外2つのリムを
同時に接着・プレスすることは可能ですが、
ファツィオリではそれぞれのリムをあえて単体で造ります。
それは内リムに固定される支柱と響板の位置や
接着を確実なものにし、
木材フレームを強固なものにするためです。
これにより、弦から伝わるエネルギーの損失がなくなり、
より堅牢なボディが生まれます。

響板

響板に使用される木材は
一般的なスプルースではなく、
イタリア・フィエンメ(Fiemme)渓谷から伐採された
赤トウヒ(Abete Rosso)が使用されます。
弦楽器の名器ストラディバリや
現代のクレモナ市の弦楽器製作学校も
同じ渓谷から伐採しています。
この赤トウヒは質量が軽く木目が均一な事から、
振動伝達に最も優れています。
さらに響板の厚みを
中心から端に向かって9mm~6mmに削ることにより、
独自の音を生み出しています。
なおファツィオリでは響板製作後、
温度調整された部屋で
最低2年間のシーズニングを行います。

リムの写真1

フィエンメ渓谷

リムの写真2

シーズニング室の響板

駒はマホガニーとメープルのラミネート下部と、
メープル・シデ・ツゲの上部によって構成されます。
上部に使用される3つの木材は、
低音から高音にかけてそれぞれの硬さを生かし使われます。
低音部の駒は伸縮性と弦振動の
よりよい伝達を可能にする為の構造がとられ、
駒の表面加工は熟練した職人の手によって
削られています。

デューブレックス・スケール・システム

デュープレックス・スケール・システムとは、
打弦した際に振動する弦と
その弦の倍音構成された前後の弦が共鳴することを
目的としています。
従来のデュープレックスシステムは
固定されたアリコートブリッジと、
鉄骨フレームの一部で調整が不可能なカポダストロバーと
アッパーブリッジによって構成されていました。
ファツィオリでは調整の向上を目指し、
可動して調律可能なアリコートブリッジと鉄骨フレームから独立した移動が可能なカポダストロバーと
アッパーブリッジからなるデュープレックスを開発しました。
これによって非常に精密な調整をすることが可能になりました。
この独自の構造により正確な倍音構成を可能にし、豊かな音を奏でることができます。

鉄骨フレーム

鉄骨フレームは
現代のバキュームプロセスによる鋳造ではなく、
伝統的な方法により時間をかけて鋳造されています。




棚板

棚板はブナおよび響板材と同じ赤トウヒにより
構成されています。
両端に使用されるブナは
中央部分の赤トウヒをしっかり支え、
最高の安定性をもたらします。
また棚板は山なりに削られ、
キーフレームとの確実な密着により
鍵盤のエネルギーを損失することなくハンマーに伝えます。
また一部にテフロンディスクを採用することで、
シフトペダル使用時のスムーズな動きが得られます。

鍵盤

全てのモデルは
コンサートピアノと同じ鍵盤重量(弾く時の重さ)に
設定されています。
白鍵は滑りにくい素材を使用しサテン仕上げとなっており、
ステージライトによる光の反射がありません。
黒鍵は黒檀を使用しています。


アクション

アクション及びハンマーは、
全て最高品質のメーカーに、ファツィオリの厳しい基準を指定し造らせています。
アクションセンターピンの一つ一つのトルクを
入念に検査した後に組み立てられるため、均一なタッチが得られます。
ハンマーはクルミのウッドに、最高品質のフェルトを使用することにより
製造時に一切の硬化剤を必要としません。
このことにより非常に高い弾力性が得られます。

4番ペダル

このペダルはファツィオリによって開発され、
特許も取得しております。
従来のシフトペダルは音色を変化させるだけですが、
このペダルは音色を変えることなく
音量のみが小さくなります。
これはハンマーと弦との距離が近くなり、
なおかつ鍵盤の深さも浅くなることから生まれます。
これにより速いパッセージと
グリッサンドが可能になります。

*F308は通常の3本ペダルと4本ペダルの2つが標準装備ですが、他のモデルはオプションにより設置することが出来ます。
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金メッキ

真鍮部品の一部を除く全ての箇所に
金メッキを施しています。
この金メッキは経年による腐食を防ぐとともに、
その美しい輝きをいつまでも失うことはありません。

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